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時の過ぎゆくままに 第13話

時の過ぎゆくままに 第13話

 明け方、疲れてフラフラになって家に帰ると、玄関先に人影を見つける。不審に思って暫く相手の様子を窺っていると、聞きなれた声で名前を呼ばれた。
「圭祐」
「…淳史」
「こんな時間まで毎日何やってんだよ!」
「……何って……仕事…」
「こんな夜中にする仕事なのか?」
「…クラブで…働いてるんだ…」
「クラブ?」
 街灯の前に立っている淳史の顔は、逆光になっているために見えないが、その声から怒っているらしいことがわかる。
「毎日、学校終わってから来てるのに、ちっともいないから心配するじゃないか!」
「ごめん。仕事が5時からだから、行き違いになったんだね」
「圭祐、クラブってまさか、ホストクラブとかって言うんじゃないだろうな?」
「……うん…でも…」
「お前、ホストなんかやってんのかよ!」
 突然淳史に掴みかかられて、圭祐は咄嗟にその胸を突き飛ばした。
「…けい…すけ……?」
 まさかそんな反応をするとは思っていなかった淳史は、信じられないという表情で圭祐を見る。圭祐も自分の取った行動に驚いて、茫然と淳史を見つめていた。
「どういうことだよ?」
「えっ?」
「どういうことかって訊いてんだよ!」
「…どういうって…ごめん…わざとじゃないんだ…」
「わざとじゃなかったら何なんだ?もう、俺たちは友達じゃないのか?」
 問い詰められて、圭祐は答えられずに大きく目を瞠って淳史を見ていた。その瞳から涙が溢れだして流れ落ちていく。圭祐の涙を見て淳史は狼狽えた。
「…ごめん…圭祐……」
 誤って、淳史は圭祐をそっとその腕に抱きしめた。
「ううん。僕のほうこそ、何も言わなくて悪かったよ。淳史に迷惑がかかると思ったんだ。こんなに心配掛けてごめん」
「なあ、家に入ってもいいか?」
 圭祐は頷いて、淳史から体を離すと、玄関の鍵を開けた。
「散らかってるけど、入って」
 先に玄関を上がり、リビングに入ると、明りをつける。
「座ってて」
 圭祐はそう言うと、淳史と入れ違いにリビングを出てキッチンに入る。コーヒーを入れるために湯を沸かしながら、どうしてこんな時間に淳史は家の前にいたんだろうと考える。ふっと、壁に掛ったカレンダーを見て、今日が日曜日だったことに気が付いた。
「そうか…今日、日曜日なんだ…」
 確かめるように呟く。夜出て明け方帰る生活で、曜日の感覚が薄れている。それに、もう学校へ行くことのない圭祐にとっては、曜日など特に意識しなければならないものでもなかった。
 コーヒーを持ってリビングに戻る。本当は疲れている上に、今日も夕方から仕事だからすぐにでも眠りたかったが、せっかく淳史が来てくれているのにと思うと無下にはできない。一通り話を聞いてから、事情を話して帰ってもらおうと思った。
「圭祐、ホストってどこの店で働いてるんだ?」
「違うよ。ホストクラブだけど、僕はホストじゃなくて、ウェイターみたいな仕事をしてるんだ。お客様を案内したり、お酒を持って行ったりね」
「そうなのか?」
「疑ってるの?疑われても仕方ないけど、本当だから」
 一口コーヒーを啜る。淳史も同じようにコーヒーを飲む。それを見て圭祐は、躊躇いながら言った。
「ごめん、淳史。俺疲れてるから、コーヒー飲んだら帰ってくれる?」
「……今夜も…仕事なのか?」
「うん。だから早く休まないと、寝る時間が……」
「辞めろよ、そんな仕事」
「えっ?」
「そんな、女相手にするような仕事辞めろよ」
 否定し掛けて一瞬言葉に詰まる。ホストはホストでも、女性相手のホストではない。それを言っていいものかどうか、圭祐は迷った。
「辞めて、もっとましな仕事しろよ。ウエイターって言ったって、誘われれば女の相手するんだろう?」
「……違うんだ…」
「何が違うんだよ?」
「……女の人は……来ないんだ…」
「……何だって?」
 驚いたように見つめる淳史を見て、圭祐は次の言葉が言い出せなくなってしまう。俯いてどうしようかと迷っていたが、淳史に嘘をつくのは嫌だと思った圭祐は、思い切って
「男の人が来るホストクラブなんだ」
 と、事実を告げた。

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