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智也の反乱 その1

智也の反乱 その1

 大学時代の恩師に挨拶に行くという野崎と別れて、智也は高校の同窓生の斎藤に会いに行った。斎藤に会うのは大学を卒業して以来である。高校時代、斎藤が智也に好意を持っていたことを、野崎は未だによく思っていない。今日会うことも反対していたが、智也から「俺を信じていないのか」と問い詰められて、渋々承諾したのだった。
 鴨川の四条大橋近くの遊歩道で待ち合わせをする。「久しぶり」とお互い挨拶を交わして、どちらからともなくブラブラと歩きだす。
「野崎は嫌がってたろう?」
「少しね」
「結婚したんだってな」
「えっ?」
「野崎から聞いたよ。教会で誓って指輪を交換したって。俺を牽制したつもりなんだろうな」
 可笑しそうに笑いながら斎藤が言う。
「そんなこと言ったんだ。そんなに俺のこと信用できないのかな?」
「信用してないんじゃなくて、お前を一人占めしたいだけなんだよ。愛されてるんだからいいじゃないか」
 智也は大きくため息をついて、鴨川の川面を見下ろした。
 日が西に傾いて、川のせせらぎをきらきらと煌めかせている。大学時代、この辺りをよく二人で歩いたと、一人物思いに耽っていると、斎藤の腕が智也の肩を抱き寄せた。
「何?」
「そんなに警戒しなくてもいいだろう?」
「冗談はよせよ」
 さりげなく腕を離そうとしたが、逆に強く抱き寄せられて驚いた。
「斎藤!」
「結城、すぐそこの駐車場に車を停めてるんだ。二人でドライブしないか?」
「悪いけど、あんまり時間が無いんだ。7時には河原町で優と待ち合わせしてるから」
「まだ、1時間以上あるぞ」
「斎藤、俺そんなつもりで…」
 困り果てた様子の智也を見て、斎藤はついに吹きだした。
「斎藤?」
「悪い悪い!あっはっは…。そんな困った顔をしなくても襲ったりしないよ」
「人をからかうのもいい加減にしろよな」
 ムッとした様子の智也に、もう一度謝ってから、斎藤は智也をコーヒーショップに誘った。
 裏通りを少し入ったところに、ひっそりと佇むその店は、古い民家を改築してできた店だった。
 芳しいコーヒーの香りにホッと一息つく。
 二人は席に着くと、本日のお薦めのコーヒーを注文した。
「美味しい!」
「そうだろう」
「よく来るのか?」
「時々、疲れたときや考え事をするときなんかに来るんだ。夜も10時頃まで開いてるから、大学の帰りに寄ったりね」
「そうなんだ」
 暫く何も話さずに、コーヒーの味を堪能する。静かな落ち着いた時間が流れる。その沈黙を破って、斎藤が智也に唐突に訊ねた。
「結城、お前さ、抱かれるばっかりで満足してるのか?」
「な、何だよ!いきなり!」
「いや、医学的な興味だ。抱く側はいいとして、男として抱かれる側ってどんなものかと思って」
「それって、俺をバカにしてるのか?」
「そんなことある筈ないだろ。一度は惚れた相手だぜ。今だってチャンスがあれば抱きたいと思ってる」
「バ…バカ!いい加減にしろよ!」
 いつも物事に拘らず、明け透けに物を言うところは変わっていないと、智也は呆れながら思った。そんな智也に全く構う様子もなく、斎藤はその話題を続けようとする。
「斎藤、頼むからもうやめよう」
 顔を背けて、もう何を言われても聞かないぞという素振りを見せた智也に、斎藤は最後の爆弾を落とした。
「結城、お前、野崎を抱きたいと思ったことはないのか?」
 ガタッと椅子を慣らして勢いよく立ちあがると、智也はそのまま店を出て行った。

 
「どうしたの?食べないのか?」
 河原町の馴染みの店で食事をしていたが、智也は斎藤の言葉が気になってなかなか箸が進まない。
「何かあった?」
「……えっ?」
「元気がないね。疲れたの?誘わないほうが良かったかな?」
「違うよ!大丈夫、疲れてなんかないよ」
「ほんとに?」
「うん。ごめん、ちゃんと食べるから」
「そうだね。せっかくの料理が冷めたらもったいないよ」
 フフッと笑って、野崎は智也の小皿に料理を取り分けてやる。
「ありがとう」
 それを受け取って智也はやっと食べ始めた。
 
 食事の後、少し遠回りをしてホテルに帰る。
 部屋に入ると、いつものように野崎が後ろから抱きしめてくる。
「智也…こっちを向いて…」
「…優」
 振り向かされて唇を奪われる。いつもならそれだけで何も考えられなくなるのに、智也の頭の中で斎藤の言葉が、エンドレスリピートで流れている。

『お前、野崎を抱きたいと思ったことないのか?』

 そんなこと考えたことはなかった。抱かれるのが当たり前のようになっていたし、いつも抱かれたいと思っていた。 しかし、もし、野崎に「抱きたい」と言ったら、野崎はどうするのだろう?
 いつものように応えようとしない智也を訝しそうに見て、野崎は
「どうしたの?やっぱり変だよ」
 と訊く。
 思い切って言ってみようか。
「なあ…、俺、優を抱きたい!」
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