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赤の風景 7

赤の風景 7

母の手作りの料理が並ぶテーブルを囲み、取り繕った笑顔の夕食が始まる。
さあ、幕は上がった。
「山崎君、久しぶりね。遠慮しないでどんどん食べてね」
何も知らない母が笑顔で煮物を山崎に勧めている。
「ありがとう」
ぎこちなく礼を返して、山崎は指先の震えを抑えながら煮物を受け取った。
その横で、兄は俯いたままだ。箸を取ろうともせず、ただ黙って下を向き、唇を噛んでいる。
よほど強く噛んでいるのか、唇の色は褪せてしまっている。
まるで、さっきの俺のように。
もっとだ。
もっと強く。
そこから赤い血が流れるくらい噛み締めて、恐れ戦く心の内を俺だけに見せてくれ。

「お兄ちゃん、食べないの? 早く食べないと冷めちゃうわよ」
まるで追い打ちをかけるように、母が兄に優しい笑顔を向ける。
小さい頃から母思いで、いつも母の期待に応えようとしてきた兄にとって、今の母の笑顔はどんな責め苦よりも辛い拷問だろう。
だからこそ、俺は二人にこの時間を与えたのだ。
「……え? ……ああ、食べるよ。久しぶりだね、母さんの手料理」
「何を言ってるの。お母さんはちゃんと毎日作ってるわよ? お兄ちゃんが帰って来ないんでしょう。大変ね。でも、研究ばかりじゃ体壊すわよ」
何かを言いかけた兄を遮って、俺は二人に問いかけた。
「生体反応の実験? たいへんそうだね」
「何を言ってるの? 弘樹。お兄ちゃんは電子工学でしょう?」
「そうだったっけ?」
「弘樹くん。もう……」
「山崎さん、俺さ、同じ大学受けることに決めたんだよね。山崎さん、ときどき勉強みてくんないかな?」
「弘樹! やめろ!」
「何? 何怒ってんの、お兄ちゃん?」
俺は、唇だけの笑みを兄に向けた。





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