天使たちの噂話

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天使たちの物語 【一夜限りのご主人様】

人気ロックバンド エクスシア のヴォーカル葉月は、同じバンドのリーダーの翔と恋人同士。しかし、わがまま翔との付き合いに少し疲れを感じていた。そんな折、ライブツアーを成功させたエクスシアのメンバーたちは、デビューして初めてもらった長期休暇でそれぞれが海外旅行に出かけることに。葉月は翔とロンドンへと旅立ったが、そこで喧嘩別れしてしまう。あてもなく彷徨い歩いてたどり着いたのは、改装中の古いホテル。雨に降...
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赤の風景 9

赤の風景 9

俺は山崎の腕を掴むと、無言で兄の部屋へと導いた。
「弘樹くん?」
怪訝そうな顔で俺を見る。
山崎の腕を強く引っ張って、振り回すようにベッドへと放り投げる。
勢いで倒れ込んだ山崎は、壁で頭をしたたかに打った。
「……何を……何をする気だ?」
怯えた目で俺を見上げ、震える声で問いかける。
「あんたが兄貴にしたことさ」
机の上に準備しておいたガムテープを取り上げると、俺はゆっくりと山崎に近づいてゆく。
「弘樹くん、やめるんだ!」
「怖がることなんてないだろう? あんたはいっつも兄貴に突っ込んで、あんなに啼かしてるじゃないか」
そう言って俺は、自分の唇を舐めて見せた。
抵抗する山崎に兄との関係を言いふらすと脅し、両手をガムテープで後ろ手に縛る。
「弘樹くん、やめるんだ! バカな真似をするな!」
哀願を込めた瞳で必死に頼む山崎の顎を掴んで無理矢理口をこじ開けると、俺は噛みつくように口づけた。
顔を背けて逃げようとする山崎の口中へ舌をねじ込む。
この口が、この舌が、兄にかさなり、兄の唇を、舌を弄ぶのだ。
兄の唾液は甘いのだろうか?
舌は柔らかいのだろうか?
唇は?
綺麗にそろった歯は?
山崎の唇から、舌から、粘膜から、兄の記憶を引き出そうとする。
山崎は兄の花茎を咥えたのだろうか?
それはどれほど熱く滾っていたのだろう?




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赤の風景 8

赤の風景 8

その後、兄は俺と一言も口を利こうとしないまま食事を終えて、帰ると言う山崎を駅まで送りに行った。
帰り際、俺は山崎に家庭教師をすることを承諾させて、兄が学会に行く日の夜に、家まで来るようにと告げた。
兄は「絶対に認めない」と言ったが、最後は俺の脅迫に、頷かざるをえなかった。
学会に行くまでの一週間、兄は俺と顔を合わせようとしなかった。
俺の企みを知ったら、兄はどんな顔をするのだろう。
山崎との関係は壊れるだろうか?
何も知らずに帰ってくる兄の顔を想像すると、体の中心が熱を持つ。
無意識に手を触れたら、蛇が背筋を這い上っていくような戦慄を覚えた。

約束の日、山崎は少し遅れてやって来た。
今夜は母も同窓会に出掛けて留守だ。
山崎と二人きりの夜。この日を待っていた。
ずっと待ち続け、けれど、どうにもならないと諦めようとしていた。
諦めさせてくれなかったのは山崎と兄だ。
俺を狂わせたのは、夕陽で真っ赤に染まる二人の乱れた姿態。






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赤の風景 7

赤の風景 7

母の手作りの料理が並ぶテーブルを囲み、取り繕った笑顔の夕食が始まる。
さあ、幕は上がった。
「山崎君、久しぶりね。遠慮しないでどんどん食べてね」
何も知らない母が笑顔で煮物を山崎に勧めている。
「ありがとう」
ぎこちなく礼を返して、山崎は指先の震えを抑えながら煮物を受け取った。
その横で、兄は俯いたままだ。箸を取ろうともせず、ただ黙って下を向き、唇を噛んでいる。
よほど強く噛んでいるのか、唇の色は褪せてしまっている。
まるで、さっきの俺のように。
もっとだ。
もっと強く。
そこから赤い血が流れるくらい噛み締めて、恐れ戦く心の内を俺だけに見せてくれ。

「お兄ちゃん、食べないの? 早く食べないと冷めちゃうわよ」
まるで追い打ちをかけるように、母が兄に優しい笑顔を向ける。
小さい頃から母思いで、いつも母の期待に応えようとしてきた兄にとって、今の母の笑顔はどんな責め苦よりも辛い拷問だろう。
だからこそ、俺は二人にこの時間を与えたのだ。
「……え? ……ああ、食べるよ。久しぶりだね、母さんの手料理」
「何を言ってるの。お母さんはちゃんと毎日作ってるわよ? お兄ちゃんが帰って来ないんでしょう。大変ね。でも、研究ばかりじゃ体壊すわよ」
何かを言いかけた兄を遮って、俺は二人に問いかけた。
「生体反応の実験? たいへんそうだね」
「何を言ってるの? 弘樹。お兄ちゃんは電子工学でしょう?」
「そうだったっけ?」
「弘樹くん。もう……」
「山崎さん、俺さ、同じ大学受けることに決めたんだよね。山崎さん、ときどき勉強みてくんないかな?」
「弘樹! やめろ!」
「何? 何怒ってんの、お兄ちゃん?」
俺は、唇だけの笑みを兄に向けた。





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赤の風景 6

赤の風景 6

「好きで兄弟になったわけじゃない!」
心の奥底に隠し続けていた言葉が迸る。
「……ひろ……き……」
「兄弟になんてなりたくなかった!」
「…そんなに嫌われていたなんて……」
「ちが…っ!」
だめだ!
これ以上は!
本当の気持ちは決して口に出してはいけない!
兄を愛しているなんて!
「弘樹君、君は…」
「もういい!」
「弘樹?」
「口止め料をもらうよ! 晩飯を一緒にって、お袋が言ってる。山崎さん、食べていってもらうよ。俺とお袋と兄貴と一緒にね!」
片側の口角だけを上げてニヤリと笑い、冷ややかに兄と山崎を見て言い捨てると、俺は夕日で薄赤色に染まる部屋を後にした。






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赤の風景 5

赤の風景 5

歯止めがきかなくなった俺は、ナイフの代わりに罵ることで二人の心をずたずたに引き裂いてしまう。
「男二人が真っ裸で抱き合っていいざまだな。汚らわしい! 兄貴はこんな男に突っ込まれて喜んでいるのか? それとも兄貴が突っ込む方か? ふん! これが俺の兄貴かと思うと情けなくて泣けるよ」
「いい加減にしろ! 雄樹はお前の兄さんだろう!」
「山崎、やめてくれ。弘樹、俺を責めるのは仕方がない。けど山崎は何も悪くないんだ! 俺が……俺から、誘ったんだから……」
「……兄貴が……?」
衝撃に目の前が暗くなり立っていられなくなる。
まさか、まさか兄から誘ったなんて信じられない!

一人で立っていられずに、思わず壁に手をついて体を支える。それでも俺は、二人を貶めることを止められない。
「……母さんがこのことを知ったらどう思うかな?」
「母さん、帰ってるのか?」
「帰ってるよ。なんなら今からここへ呼んでやろうか?」
「弘樹! 頼むからそれだけはやめてくれ!」
縋りつくような眼差しで、必死に俺に懇願する兄に、俺はさらに嗜虐心を煽られる。
「だったら、口止め料をくれよ」
「口止め料……?」
「そうだよ」
「いくら……払えばいいんだ?」
「雄樹よせ! 弘樹君もやめろ! 兄弟だろ!」
兄弟!
なんて嫌な言葉なんだ!
その言葉が俺をがんじがらめにしているのに。






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赤の風景 4

赤の風景 4

俺の言葉に二人とも絶句する。
「……俺たちを……軽蔑するのか?」
山崎が兄を庇うように抱き締めた。
「たとえ男同士でも、人が人を愛することに変わりはないだろう!」
憎しみに満ちた目で、山崎が俺を睨みつける。その言葉は俺の胸を貫いて、心に大きな穴を穿つ。そこから溢れ流れ出す血は熱く、俺自身を赤く染めて融かしてしまいそうだ。
人と人…… 
そう言うのなら、俺と兄も人と人ではないのか?
兄と同じ血が流れている。ただそれだけで俺の想いを告げることはできないのだ。
たとえどんなに愛していても! 
その想いが強ければ強いほど、兄と山崎に対する憎しみも深くなる。できればここで、二人の胸にナイフを突き立て心臓を抉り出してしまいたい。そして永遠に兄を俺のものにしたい。





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赤の風景 3

赤の風景 3

玄関の扉の開く音で、俺は兄の部屋の前をそっと離れた。足音を立てないように後退り、静かに階段を降りる。
今見た光景が脳裡にこびりつき、耳の奥で兄の喘ぐ声が響く。しかし、俺は何事もなかったようにリビングに入り、いつもより早く仕事から帰った母親に話しかけた。
「おかえり。早いね」
「ただいま。お兄ちゃん、帰ってるのね」
「うん。山崎さんも来てるよ」
「久しぶりね。夕食一緒にどうって訊いて来て」
「わかった」
思惑通りの展開にほくそ笑む。
これで堂々と兄の部屋に入ることができる。二人は今、どんな姿でいるのだろう?
わざと大きな足音を立てながら俺は二階へ上がる。
「兄貴、いるんだろ?」
声をかけると返事を待たずにドアを開ける。
ベッドの中で全裸のまま抱き合っている二人。兄は驚愕の眼差しを向ける。ぽかんと開いた唇から覗いている熟れた苺のような真っ赤な舌に、俺の視線は釘づけになり、思わず唾を、喉を鳴らして飲み込んだ。
まるで誘っているかのような兄の姿態に、俺の下腹部は硬く凝り、熱を孕んで膨れ上がる。
「兄貴、何してんだよ?」
「……弘樹」
絞り出したような掠れた声で兄は俺の名を呟いた。
「弘樹君、見なかったことにしてくれ」
山崎が懇願する。
「何? 何を見なかったって?」
「……こ、この……ことを……」
「このこと?」
「俺は雄樹が好きなんだ。俺たちは恋人同士なんだよ」
「恋人? 兄貴、本当なのか?」
「弘樹……」
「へえ! 男同士でね? 兄貴がそんな変態だったとは知らなかったよ」





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赤の風景 2

赤の風景 2

「あ……あぁ……や、やまさき……」
「……雄樹、雄樹」
「あぁっ! もう……い……」
山崎がぐっと体を起こし兄を抱きしめる様を見て、俺は奥歯を噛み締める。
二人の動きが激しくなり、兄の口から悦楽の声がさらに大きくなって迸る。山崎が噛みつくようにキスをすると、兄は応えるように彼の髪を弄って掻き抱いた。
許せない!
兄は自分のものだ!
叫び声が喉元まで込み上げてくる。しかし、踏み込む訳にはいかなかった。固く握り締めた拳を、色が変わるほど噛み締めた唇に押し当てる。ピリッと唇に痛みが走り真っ赤な血がぽとりと一滴廊下に落ちる。それでも俺は、部屋の前から立ち去ることができないでいた。
やがて絶頂を迎えた二人の動きが止まる。
細い首が折れそうなほど仰け反った兄は、固く閉じた瞼と正反対にその紅い唇を大きく開き、喜びの嬌声を放つ。その声はいつしか啜り泣きに変わり、涙が夕日に光りながら零れ落ちた。
その喉元に山崎は顔を埋めて口づけて、苦しげに、けれど愛しげに兄の名を呼んだ。







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赤の風景 1

赤の風景 1

 俯き加減で自転車を走らせる。ふと気がついて顔を上げると真っ直ぐに伸びた道。ほぼ等間隔で並んだ信号機の全てが赤になっている。そこに止まる車のテールランプも赤い。まるでここから先に進むなと忠告を受けているような気がして、俺はその景色に見入っていた。
 赦されないことはわかっていた。何度も諦めようとしたのだ。しかし、もうこの想いを止めることはできない。すでに制御できる範疇を超えてしまっていた。
 あの日、最後の輝きを放って夕日が部屋中を真っ赤に染めていた日、俺はもう元の世界に戻ることができなくなったのだ。
 細く開いた扉の隙間。漏れ出てくる声は、兄のものだった。見てはいけないと思いながらも、息を殺し、足音を忍ばせて、僅かな隙間から覗きみたもの。白い裸身を薄紅く染め、しなやかに背を反らし、微かに開いた赤い唇から零れ落ちる悦楽の声。兄は親友と呼んでいた男に自ら跨って腰を揺らめかせていた。
 それは何度も想像した光景だった。しかし、兄の相手は兄の親友の山崎ではなく、自分自身だった。弟である自分が、兄の体を抱きしめ、その体内の奥深くまで欲望を穿ち、許しを乞いながら快楽に溺れていく姿を、俺は幾度も思い描きながら自慰に耽った。何度も兄、雄樹の名を呼びながら……。






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天使たちの物語 【一夜限りのご主人様】

天使たちの物語 【一夜限りのご主人様】

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雨に降られ、心も体も疲れ果てていた葉月を、アルバートと名乗る執事は優しく、暖かく迎えてくれて……


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天使たちの物語 【赦されざる罪】

天使たちの物語 【赦されざる罪】

父親の耕太郎に性的虐待を受けている圭祐を、幼馴染の淳史は、何とか助けたいと思っていた。
しかし、母親が亡くなった責任を感じて、耕太郎の暴力を甘んじて受ける圭祐を前に、淳史は為す術もなく、ただ見ていることしかできない。
ところがある朝、耕太郎が交通事故であっけなく他界する。身寄りのなくなった圭祐は、ゲイホストクラブに黒服で雇われることに。
そこで出会った滝田に強引に抱かれ、初めて快感を知る。その後も何かと気にかけてくれる滝田に圭祐は引かれていくが、そんなとき、耕太郎の死に隠されていた意外な事実が発覚して……


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天使たちの物語 【近くて遠い貴方へ】

天使たちの物語 【近くて遠い貴方へ】

 高校一年の頃から、陽一はテニス部の先輩の譲に憧れ以上の気持ちを抱いていた。
二年後、譲の卒業式の日に、陽一は自分の想いを打ち明ける。フラれる覚悟をしていた陽一に、譲は「考えさせてほしい」と返事をする。
 それから数か月後、陽一のもとに譲から一通の手紙。中には東京、大阪間の夜行バスのチケットが入っていた。
 就職して大阪に赴任している譲のもとを訪ねる陽一。
 この日から二人の遠距離恋愛が始まった。なかなか会えなくても、気持ちが繋がったことで幸せを噛み締める陽一。全ては順調にいくように思われたのだが……



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天使たちの物語 【恋と子猫とオムライス】

天使たちの物語 【恋と子猫とオムライス】

 慶幸は洋食店「明治屋」の三代目。父親を亡くしてから一人で店を切り盛りしてき
た。バイトの隼人は幼馴染で、慶幸は想いを寄せているが、嫌われるのが恐くて打ち
明けられずにいた。
 ある日、女子大生のゆかりにフラれて落ち込んでいる隼人を、慶幸が慰めようとし
た夜、酔った隼人に強引に迫られて、慶幸は隼人を受け入れてしまう。しかし、店に
出入りする会計士の岡田と愛人関係にある慶幸は、その負い目から隼人とのことをな
かったものにしようとする。ところが、ある雨の夜、隼人が子猫を拾ってきたことで
、二人の関係が意外な方へと……


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天使たちの物語 【白昼の月のように】

天使たちの物語 【白昼の月のように】

結城智也と野崎優は高校二年からの恋人同士
大学生になって実家を離れたのを機に同棲生活を始めていた
順調に思われた二人の生活が
野崎が弁護士として初めて一件の事案を任されたことから
生活の行き違いが大きくなり
心も微妙にずれ始める……
そんなとき
智也は寂しさと不安から
同僚の立花に、強引に押し切られたかたちで浮気をしてしまう
そのことを知った野崎は
智也を一人残して部屋を出て行ってしまう……
絶望と悲しみからくるストレスで智也は会社で倒れ入院することになるが
そこは野崎のクライアントの白峰会総合病院の系列病院だった……


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天使たちの物語 【赤の風景】

天使たちの物語 【赤の風景】

ずっと……兄だけを見てきた……
俺が愛した唯一の人……
しかし
兄の親友の手で汚されるところを、俺は見てしまったのだ
赦せない!
兄は俺のもの!
誰にも渡しはしない……
歪んだ愛が思いもよらない結末を招く……


無料でお読みいただけます
表紙をクリックしてお入りください
バーをクリックするとPDFファイルが開きます

お読みになる前に
 この物語には、かなりハードな暴行、凌辱シーンが書かれています
 苦手な方はお読みにならないほうがよいかと思います
 また、お読みになられた後、ご気分を歩くされましても責任を負いかねますのでご了承くださいませ

赤の風景



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竹の子書房って?

竹の子書房って?

竹の子書房はツイッターのTL上に発生した電子書籍発行集団です

会員登録なしに電子書籍を全て無料で読んでいただくことができます

詳しくはこちらから竹の子書房にお入りください
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天使たちの物語 【法悦の鎖】

天使たちの物語 【法悦の鎖】

まほろば文庫からのデビュー作です

 榊智弘は循環器外科の医師。
 友人の循環器内科の医師の光原から頼まれて、真行寺財閥の総帥である実頼の治療
に協力することになるが、そのとき出会った長男の実篤に見初められてしまう。
 強引に屋敷の別室に監禁、拘束されて凌辱されてしまうが、次第にその快楽が忘れ
られず、自ら実篤に体を開くようになっていく。
やがて、肉欲だけでなく実篤を心から愛するようになってしまうが、ある実篤の裏
切り(?)によって離別を決心する。しかし……。



法悦の鎖368円
電子書店パピレス・どこでも読書・よみーな・いまよむ他で配信中❤






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天使たちの物語 ギリシアの神にくちづけて

天使たちの物語 ギリシアの神にくちづけて

美大生の高城は、准教授の藤森に頼まれてアシスタントをしていた。
アシスタントと言えば聞こえはいいが、いわば助手兼ハウスキーパーで、毎週末と長期休暇に藤森の自宅を訪れて、掃除や洗濯、食事の支度をする代わりに、アルバイト料と絵の指導を受けていた。
高城は藤森の描く一連の【赤のシリーズ】に描かれた赤い髪の少年に焦がれ、いつか会いたいと願っていた。
ある日、藤森に連れられて行った銀座の画廊で赤のシリーズの一枚に性的な妄想を抱いてしまう。
その夜、藤森からもうすぐその少年に会えると言われ、胸を躍らせた高城は、泊めてもらった藤森の自宅のアトリエで、藤森が赤い髪の少年を抱いているところを見てしまう。
急いで部屋に逃げ帰り、忘れてしまおうとするが、少年の妖しい魅力に憑りつかれ……
 
少年を愛するがゆえに絵を描き続ける藤森、秘めた恋心を抱き続ける高城。
赤い髪の少年・由貴哉はどちらを選ぶのか……

20144_1032475_m.png315円(税込)
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天使たちの物語 【愛と憎しみの狭間】

天使たちの物語 【愛と憎しみの狭間】

20144_100613421_m.png315円(税込)
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新年のご挨拶

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます
遅ればせながら
新年のご挨拶を
昨年はたくさんの応援、アドバイスをいただきまして
本当にありがとうございました
心から感謝申し上げます
本年も
どうぞよろしくお願い申し上げます
年末にパソコンがクラッシュしまして
ほとんどネット上にいませんでした
原稿も書くことができなくて
昨年納品予定だった作品も
今年に持ち越すことに
気が付けばもう七草粥
やっと
新しいパソコンが届きました
なんとか
スカイドライブから原稿をサルベージできそうで
ホッとしています
さて
心機一転
頑張ります!
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水澤純のHP

水澤純のHP

悪戦苦闘の末、HPなるものを作成いたしました!

舌の…コホッ! 下のバナーをクリックしてお越しくださいませ

まだまだ工事中ですが、配信中の作品のご紹介など致しております

皆様のご訪問をお待ち致しております
(18未満の方のご入場はご遠慮いただいております)


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竹の子書房一周年に寄せて

竹の子書房一周年に寄せて

恋文  水澤純


 祖母の葬儀は、親族だけでしめやかに営まれた。
 その翌日は早くも初七日の法要も済み、数少ない親戚たちは、遺品分けの話をしていた。
 次々と開けられる箪笥や押入れ。その中から目ぼしいものはないかと漁っている親戚を見て、孫の香里は情けなく思っていた。
 そんな中、ゴミと一緒に置かれた一つの小さな箱。
 ふと気になって開けてみると、古い手紙が何通か入っていた。
「紙がセピア色だ……」
 ぽつりと呟いて、手に取ってみる。裏を返して見てみると鹿児島の知覧からで、全て同じ男性からだった。
「竹野、正法……?」
 表書きには『松野梅乃』。
「おばあちゃんが独身の頃の手紙なんだ。何? もしかして、ラブレター?」
 人の手紙を読んではいけないとわかっているが、祖母は亡くなってしまった。だったら、その想いを知るのも一つの供養ではないだろうかと勝手な判断をして、香里は丁寧に手紙を取り出した。
 流れるような筆跡で小説を思わせるような文体で書かれた、それは紛れもなく、ラブレターだった。

梅乃様
これが最後の手紙になるものと思います。昨日も、一昨日も、大切な友はここ、知覧を飛び立ってゆきました。開聞岳の上空を旋回し、私達の頭上低く通過して、最後の別れを告げた友は、勇敢にも敵艦に向かい一撃を浴びせんと、突撃してゆきました。
このたび、私にも漸く出撃命令が下されて、明日、この地を飛び立ちます。
できれば、最後にもう一度、梅乃さんにお会いしたかった。
ちょうど一年前、夏の真っ盛りに二人で食べた茶店のわらび餅、覚えていらっしゃいますか。あのとき、私の話が可笑しいと、わらび餅を口に入れたまま、梅乃さんは笑いましたね。黄粉がそこいら中に舞い散って、それが可笑しくてまた、笑いました。あのときの幸せを胸に、私は出撃して参ります。
心残りは、梅乃さん、貴女のこと。
どうぞ、素敵な男性と幸せなご結婚をなさってください。
本当は、私が貴女を幸せにしてあげたかった。ささやかでもいいから、戦争のない国で、穏やかな家庭を作り、可愛い子供を育てたかった。私は仕事に行き、貴女は家庭を守る。どうしてこんな当たり前のことが、私達にはできないのでしょうか。それを思うと、歯がゆくてなりません。
どうぞ、軟弱な腰抜けとお笑いください。
私は、友のように勇敢には出撃できそうにありません。未練を残し、悲しみ、怯えております。こんな姿を貴女に見られないことだけが、ほんの僅かな救いです。
梅乃さん、この手紙が着く頃には、私はもう、この世におりますまい。
ただ一つ、勇気を与えて下さっているのは、梅乃さん、貴女です。
貴女を、貴女だけを救いたいがために、私は飛び立ちます。そして、貴女の幸せを祈りながら、見事敵艦に突っ込んでゆきましょう。
梅乃さん、どうか私なんかのために泣かないでください。貴女には、これから後、素晴らしい未来が広がっているのですから。
これで、筆を置きます。
貴女に会えて、私は幸せ者でした。
ありがとうございました。
さようなら。

 読み終わった後、香里はしばらく涙が止まらなかった。
 戦争が、愛し合う二人を引き離す。話には聞いていたが、まさか自分の祖母が、こんなに辛い思いをしていたなんて。
 けれど、祖母は笹野家に嫁ぎ、子供にも恵まれて、竹野氏が望んだように幸せになった。そして家族に見守られてこの世を去ったのだ。これはこれで良かったのかもしれないと、香里は思い直して手紙を箱の中に戻した。
 あとで他のゴミと一緒に焼いてあげたら、天国に届くかもしれない。
 香里はそっと胸の前で手を合わせて、竹野氏と祖母の冥福を祈った。
 まさかその手紙が八月十四日に書かれたもので、竹野氏の出撃がなかったなんて香里は知る由もなかった……。
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風とともに

風とともに

「大谷! 頑張れ! しっかりしろ!」
 大きな声で呼ばれて、ハッと目を覚ます。
 そこは、見覚えのある場所。俺が勤める病院のICUだった。
「……俺は……どうし……」
「大谷! 気がついたか! おおい! 大谷の意識が戻ったぞ!」
 嬉しそうな吉岡の顔が見える。バラバラと集まってきたスタッフは、みんな知ってる奴ばかりだった。
「心配したぞ。よかった、よかったよ! 助かって」
「助かった?」
「お前、発見されたときは心肺停止状態だったんだぞ! もうだめかと思ったが、なんとか蘇生できたんだ。しかし、意識が3日も戻らなくてな。脳波は反応してるのに、一向に目が覚めないからどうしようかと思ったよ」
 説明してくれる吉岡の目に涙が滲んでいる。心から心配してくれたんだと思うと嬉しかった。
 数日後、許可が出て、俺は車いすでの散歩を許されたので、吉岡に押してもらって病院の庭に出た。
「……俺、記憶がないんだけど、どうなってたんだ?」
 意識が戻ってからずっと気になっていたことを訊ねてみる。
「お前が、幸平君のことで落ち込んでいるのは知っていたが、まさか自殺するとは思わなかった。お前が仕事に来なくて家に電話をしたが誰も出ない。不吉な予感がしてお前の家に行くと、お前が風呂場で……。見つけたときはもう、パニックだったよ」
「お前が見つけてくれたのか?」
「ああ、そうだよ」
「ありがとう」
 桜の季節を過ぎて、今はつつじが満開になっている。桜はすでに新緑に覆われて、瑞々しく輝いていた。
「俺、幸平君にあったんだ」
「……?」
「幸平君に、病院に帰って、自分と同じ病気で苦しむ人がいたら、その人たちを治してやってくれと頼まれた」
「……そうか」
「俺はその約束を守らなくてはならないんだ」
 言った途端、幸平君の唇の感覚と華奢な体を思い出す。なぜあのとき、彼の唇も体もあんなに暖かかったのだろう。もし、あの姿が幸平君の魂だったのなら、魂とは人の温もりのように暖かいものなのだろうか?
「幸平君が手術中に亡くなったのは、お前の責任じゃない」
 唐突に吉岡が言う。
「幸平君もそう言ってたよ。寿命だったんだって。手術をしてもしなくても、自分はあの日旅立つ運命だったと」
「そうか……」
「吉岡、お前、信じてないんだろう? 俺の話」
「……いや、信じてるよ。だからお前は帰って来たんだろう?」
「そうだ。俺は、幸平君との約束を守らなければならないんだ」
「彼の思いを無にするなよ」
 吉岡の言葉に、俺は大きく頷いた。
 さあっと、一際強く風が吹く。
 何かが唇に触れたような気がした。
「……幸平君……?」」
 先生が好きだと言った彼の顔が浮かぶ。
 ほろ苦い思いが胸を過った。

                             
 終 
    

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風とともに

風とともに

 翌日は朝から風が強く、村のあちこちにある桜の花をしきりに散らしていた。
「まさに桜吹雪だな……」
 降りしきる桜の花弁の中を、幸平君を見送るために、俺はバス停へと急いだ。
 彼が乗るバスは、12時に出発するという。バスで天国に行けるのかどうかはわからなかったが、これで彼と会えなくなるのかと思うと、惜別の思いに駆られた。
「先生、ここだよ!」
 少し離れたところから、幸平君が俺に向かって手を振っている。
「遅くなって悪かった」
「先生、来てくれて嬉しいよ。先生もちゃんとバスに乗って帰ってね。約束だよ!」
 幸平君が小指を立てて、俺の前に差し出す。俺はその細い小指に自分の小指を巻きつけた。胸の奥がちりりと痛み、目頭から熱いものが流れ落ちた。
「先生、泣かないで。僕は先生と出会えて本当に幸せだった」
「……幸平君……」
「……もう、会えないけど……見てるから……僕、先生のこと、ずっと見守ってるから……」
 俺はもう一度、彼の体を抱きしめた。その抱きしめた手を、いつまでも離したくなかった。ずっとずっと、この胸に抱いていたいと、切に思った。
「先生、そろそろ行かなくっちゃ……」
 抱き締めたまま、うんうんと頷く。
「先生、体に気をつけてね」
 頷く。
「先生……僕を、忘れないでね」
「忘れたりなんかするもんか! 離したくない! 君をこのまま行かせたくない!」
 抱き締める手に力がこもる。 
「……先生」
「俺も一緒に行くよ。ずっと君と一緒にいるよ」
「だめだよ、先生。約束、守ってよね」
「……幸平君……」
 俺の体をそっと押して、彼は身を離すとじゃあと言ってバスに向かって行った。
 一際強い風が吹いて、舞い散る花弁に一瞬目を閉じる。再び目を開けたとき、彼も、彼の乗ったバスもすでに姿を消していた。
 暫く、その場から動くことができず、ただ涙を流しながら、幸平君がいた辺りを見つめていた。
 どれほどの時間が過ぎたのだろう。突然、後ろから声を掛けられて驚いた。
「乗らないんですか? もうすぐ出ますよ」
 振り向くと、いつの間に来たのか、バスが一台停まっている。窓から運転手が顔を出して俺に声を掛けてくれていた。
「早く乗らないと、帰れなくなりますよ」
 そうだ。俺は帰らなければ。幸平君との約束を果たすために帰らなくてはならない。
「乗ります!」
 小走りにバスに近づいて前の扉から乗り込んだ。バスには俺一人だけだった。思い返せば、来た時も乗ってから下りるまで、俺一人で、誰も乗ってこなかった。
 こんな田舎だから、乗る人もそういないんだろう。
 思いなおして、そのまま一番前の席に座る。ドアが閉まってすぐにバスは走り出した。
「いつもこんなに乗客が少ないんじゃ、赤字なんじゃないんですか?」
 運転中に話しかけるのもどうかと思ったが、寂しさについ声を掛けてしまった。
「何を言ってるんですか? このバスには先生以外、誰も乗ることはできませんよ」
「……えっ?」
「これは帰るバスですからね。先生以外に乗る人はいませんよ。幸平君が乗ったバスには、今日は5,6人乗ってたみたいですがね」
「……どういう……ことですか?」
「ですから、帰りのバスにはめったに乗る人はいないんです。かれこれ、8年ぶりくらいですかね」
 俺は、運転手の言っている意味がわからなかった。来る人がいれば帰る人もいるんじゃないのか?
 幸平君の乗ったバスを、どうしてこの運転手は知っているんだ?
「わからないのですが、このバスはいったいどこへ?」
 すると、運転手はフッフッと笑って
「面白いことを訊きますね、先生は」
 と応えた。
「ほら、もうすぐですよ。迎えの人の声が聞こえませんか?」
 言われて窓の外をみると、辺り一面、霧に包まれて何も見えない。さっきまであんなに風が強かったのにどうしてと、不思議に思っていると、どこからか俺を呼ぶ声がする。
「……たに…お……たに……」
「あの声は、吉岡……?」



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風とともに

風とともに

 その夜、幸は淡いブルーのワンピースドレスに身を包み、髪を一つに束ねていた。
 座卓を挟んで向かい合って座る。
 庭の桜が、風が吹くたびに、はらはらと花弁を落としてゆく。
 何から話していいのかわからずに、黙ったまま時間だけが過ぎてゆく。
 訊きたいことはたくさんあるが、なかなか言葉が出てこない。
 思いきって話しかけようとしたとき、幸がぽつりと言った。
「先生は、死ぬつもりなんでしょう」
 喉まで出かかった言葉を思わず飲みこんでしまう。
「……私のせいで、死ぬなんてこと、考えないでください」
「……ど、どうして……?」
「……私は、幸じゃないんです……」
 俯けていた顔をすっと上げて、真っ直ぐに俺を見つめる。
「今先生の前にいるのは、本当の姿じゃないんです」
「……じゃあ……君は、誰なんだ?」
 幸はふっと微笑むと
「僕は、幸平です」
 と、告げた。
「……っ!」
「こうでもしないと、先生は僕と会ってくれないと思ったから、女性の姿を借りたんです」
「……そんな……う、そだ……」
「信じられないですよね」
 幸平と名乗ったその女性は、すっと立ち上がると両手を胸に当てて、祈るように顔を伏せた。そのとたんに、白い光が彼女を包み込む。一瞬姿が見えなくなる。光が消えた後に現れたのは、紛れもない幸平君の姿だった。
「……これは……」
「先生、信じてくれた?」
 声も、話し方も、間違いなく幸平君だ。14歳の姿のままの彼が、俺に優しい微笑みを向けてくれている。
「……幸平君、なんだね?」
「そうだよ、先生」
 胸の奥から熱いものが込み上げて、涙となって溢れだす。
 俺は立ち上がると、衝動の赴くままに彼を強く抱きしめた。
「悪かった……。俺が、俺が、君を殺したんだ!」
「先生、苦しいよ。腕、緩めて……」
「あ、あぁ・ごめん……」


 二人で縁側に座り、散っていく桜を見る。
「先生、僕はずっと先生に憧れていたんだよ」
「…そんなことを言ってもらえる資格なんか俺にはないよ。俺が君を殺してしまったんだ」
「先生は、僕を助けてくれたじゃない。本当は、僕は5歳のあの日、死んでいたんだよ。それを必死で助けてくれたのは先生だった。先生が助けてくれたから、もう10年、僕は生きていろんなことを経験することができたんだ。もし、このまま大人になることができたら、僕は先生のようなお医者さんになろうって思ってた。僕は、先生が大好きなんだよ」
「……でも、手術なんか……」
「同じだったんだよ、先生。手術をしてもしなくても、僕の寿命は終わっていたんだ。それがわからなくて、僕は先生に手術して欲しいってお願いしたから、こんなに先生を苦しめることになってしまって。ごめんなさい。赦して欲しかったのは僕のほうなんだ」
「……幸平君……」
「先生お願いだから、僕のことでもう苦しまないで。僕の手術には失敗したかもしれないけど、でもそれで何かわかったことがあるんじゃないの?」
「……それは、確かにそう……だけど……」
「だったら、死ぬなんてこと考えないで、それを僕と同じ病気で苦しんでる人のために役立ててよ!」
「俺を、赦してくれるのか?」
「先生が、僕の口から赦すっていう言葉を聞きたいんだったら…」
「……赦すと、言ってくれ!」
「先生、赦してあげる」
 俺は彼の前で深く頭を下げた。赦してもらえるとは思っていなかった。それどころか、例え彼の後を追って死んだとしても、会えるかどうかはわからなかった。けれど、今、彼の口から赦すと言ってもらえた。
 これからは、彼のために生きよう。そして、彼が望んだように同じ病気で苦しんでいる子供たちの助けとなれるように努力していこう。
「先生、約束だよ。僕は明日、出発しないといけないけど、先生はちゃんと病院に帰って、先生の責任を果たしてよね」
「出発って、どこへ?」
「天国だよ。心配しないで。天国に行っても、僕は先生のことをちゃんと見てるから」
「……幸平君」
「……先生、もう一回、キスして……」
「えっ?」
「ほら、昨日してくれたじゃないか」
「あ、あれは……」
「先生、好きだよ。僕の先生……」
 唇に、幸平君の柔らかな唇が触れてくるのを感じて、俺は彼をそっと抱きしめた。
 なぜか、彼の小さな体も唇も、とても暖かった。




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